ライフサイエンス

K-1アルツハイマー病の根本治療薬となりうる
候補化合物の開発

研究の概要・特徴

本研究は、ヒトの体内に元々存在し、発病の原因となる物質の生成を防ぐ「ApoE」に着目して、その発現を強く誘導する化合物を開発することで、アルツハイマー病の根本治療薬に応用することを目的としています。

アルツハイマー病の主な原因は、アミロイド前駆蛋白(APP)から生成するアミロイドβ−蛋白(Aβ)が脳内に凝集して、「老人斑」と呼ばれるシミが沈着し、脳神経細胞を死滅させるためであると考えられています。
Aβの凝集を妨げるアポリポ蛋白E(ApoE)に着目し、この蛋白の発現を上昇させる化合物を開発することで、アルツハイマー病の根本治療薬への応用を目指しています。このApoEの発現は、核内受容体であるレチノイドX受容体(RXR)もしくはリバーX受容体(LXR)によって発現が制御されることが明らかにされています。
現在、RXRもしくはLXRに強力に作用する化合物(アゴニスト)を探索し、いくつかのアゴニスト活性を有する化合物を見出しています。今後、構造活性相関を検討してApoEの発現誘導活性をもつ化合物を開発し、アルツハイマー病治療への応用を目指す予定です。

応用分野・想定される用途

  • 症状の緩和や僅かに進行を遅らせるなどの対処療法ではなく、根本から治療できる創薬分野

K-2微生物を用いた海洋汚染の浄化

研究の概要・特徴

石油中には我々人間にとって有毒で難分解性の化合物が多く含まれます。石油プラントやタンカーの座礁事故などが生じた場合これらの有害な化合物が海洋に流出します。このようなときに微生物や微生物の持つ酵素を利用して海洋環境の浄化を目指す研究を行っています。

石油に含まれる環境汚染物質は難分解性の芳香族化合物が多く、発がん性や催奇性を示し、生物濃縮によって濃縮され高等生物に悪影響を示します。しかしながら、自然界にはこれらの環境汚染物質を分解しエネルギーとして利用可能な微生物が存在します。
このような微生物を探索し、分解に関わる酵素のメカニズムを解明することで事故などによる海洋汚染の浄化のためには非常に重要です。
・石油による海洋汚染浄化に対応するために、石油に含まれる芳香族化合物を分解可能な海洋性細菌の探索を行っています(図1)。
・取得した分解菌の持つ酵素の遺伝子やタンパク質を解析し、分解可能な化合物を広げたり、分解速度の向上を目指します(図2)。

応用分野・想定される用途

  • 高塩濃度工場排水の処理(芳香族化合物の分解処理)
  • 海洋性細菌や酸素製剤を用いた海洋汚染の修復