研究の概要・特徴
本研究は、ヒトの体内に元々存在し、発病の原因となる物質の生成を防ぐ「ApoE」に着目して、その発現を強く誘導する化合物を開発することで、アルツハイマー病の根本治療薬に応用することを目的としています。
アルツハイマー病の主な原因は、アミロイド前駆蛋白(APP)から生成するアミロイドβ−蛋白(Aβ)が脳内に凝集して、「老人斑」と呼ばれるシミが沈着し、脳神経細胞を死滅させるためであると考えられています。
Aβの凝集を妨げるアポリポ蛋白E(ApoE)に着目し、この蛋白の発現を上昇させる化合物を開発することで、アルツハイマー病の根本治療薬への応用を目指しています。このApoEの発現は、核内受容体であるレチノイドX受容体(RXR)もしくはリバーX受容体(LXR)によって発現が制御されることが明らかにされています。
現在、RXRもしくはLXRに強力に作用する化合物(アゴニスト)を探索し、いくつかのアゴニスト活性を有する化合物を見出しています。今後、構造活性相関を検討してApoEの発現誘導活性をもつ化合物を開発し、アルツハイマー病治療への応用を目指す予定です。